当院では近視治療に力を入れております。
お子様が学校検診や視力低下で受診されましたら、視力検査、屈折検査、眼軸長測定などを行います。検査を行い近視があれば、近視進行抑制治療の適応になります。
近視進行抑制治療として、当院では低濃度アトロピン点眼とオルソケラトロジー、多焦点コンタクトレンズを行っております。
近視治療は保険適応ではないため、自由診療での治療になります。
近視進行予測を行い治療効果の判定を行う最新医療機器導入
現在日本での近視治療は、低濃度アトロピン点眼とオルソケラトロジーが主流です。海外の多くのデータで、アトロピン点眼とオルソケラトロジーを併用するとより効果的な近視抑制が得られることが証明されています。オルソケラトロジーは、夜間にハードコンタクトレンズを装用する必要がありますので、早くても小学校半ば以降でないと治療困難です。当院での標準的な治療方針は、まずはリスクの少ない低濃度アトロピン点眼にて治療を開始します。3か月ごとに屈折検査や眼軸長検査を行います。アトロピン点眼で治療をしても近視が進行するなら、オルソケラトロジーの併用を検討します、当院では、OA―2000に搭載された「Axial Manager™」 という小児の近視進行解析ソフトを使用し近視進行の予測を行い、よりわかりやすい近視治療を心掛けております。
個々のお子様の状況により、治療方針が異なることがございますので、詳しくは当院医師・看護師にお尋ね下さい。
小児の眼軸長解析ソフトウェア
「Axial Manager™」
「Axial Manager™」は、光学式眼軸長測定装置(OA―2000)搭載する解析ソフトです。目の長さ(眼軸長)が伸びると、近視がどんどん進行して行きます。このソフトを使用することにより、お子様の眼軸長の伸びを解析でき、今後の近視の進行を予測できます。また、グラフ化して文部科学省による児童生徒の近視実態調査のデータと比較することで、近視治療の効果を客観的に、わかりやすく評価できます。
低濃度アトロピン治療について
保険適応のある低濃度アトロピン点眼は国内にないため、マイオピンと言われる低濃度アトロピン点眼液を輸入して自由診療で処方しています。
使用方法は、1日1回夜に点眼を行います。対象年齢は一般的には、6歳から12歳までですが、12歳以降でも、近視が進行する方がいますので近視進行が見られる間は治療効果が期待できます。当院では小児の眼軸長解析ソフトウェア「Axial Manager™」を光学式眼軸長測定装置(OA2000)に搭載しております。このソフトは、これまでの検査データを表に表示できるため、近視の進行状況が分かりやすくご説明できます。また、お子様の眼軸長の伸びを解析することで、今後の近視の進行を予測できます。
オルソケラトロジーについて
オルソケラトロジーは2000年頃に日本に導入され、当初は日中裸眼で過ごせるハードコンタクトレンズとして大人のみに適応され子供には使用できませんでした。その後、オルソケラトロジーは、近視の進行抑制効果があることがわかり、通常のハードコンタクトレンズと安全性はあまり変わらないことが確認できたため、2009年厚生労働省に承認されました。
日本コンタクトレンズ学会から発表された、オルソケラトロジーのガイドライン(2017年)で、これまで未成年者には非適応とされていたのが適応(慎重投与)になりました。
また、オルソケラトロジーの近視進行抑制効果は、オルソケラトロジーに低濃度アトロピン点眼を併用するほうが、オルソケラトロジー単独よりも高くなると多く報告されています。
自由診療で高い治療ではありますが、近視が強くなると、加齢黄斑変性や網膜剥離などといった重大な目の病気になりやすくなりますので、生涯に渡って良好な視力を維持するためにも、近視進行抑制治療はとても重要です。
EDoF型多焦点コンタクトレンズ
近視進行抑制治療には多焦点ソフトコンタクトレンズを用いる方法もあります。焦点深度拡張型(EDoF:Extended Depth of Focus)多焦点レンズで、遠方・中間・近方度数が複雑に組み合わされた光学デザインとなっています。