斜視とは
右目と左目が同じ方向を見ていない病気です。子供の頃に発症する斜視は、右目で見ていれば左がずれる(左が斜視)、左目で見ていれば右がずれる(右目が斜視)になる共同性斜視がほとんどです。
斜視の原因
子供の2%にみられる病気で、原因としては眼を動かす筋肉や神経、眼球周囲の組織の異常や目の位置のバランスを保つ中枢(脳)の異常によりおきるといわれています。成人になってからの斜視は、子供の頃からの斜視が悪化してみられる場合と麻痺性の斜視で突然複視を生じるような斜視がみられます。
- 1)外斜視
- 片目が外側に向いてしまう状態です。
時々だけ外側を向いてしまうタイプと、常に外側を向いてしまうタイプがあります。
常に斜視になっているタイプでは、両目を使うことができませんので眼鏡や手術による治療が必要です。
- 2)内斜視
片目が内側に向いてしまう状態です。
時々だけ内側を向いてしまうタイプと、常に内側を向いてしまうタイプがあります。
外斜視よりも常に斜視になっているタイプが多く、この場合両目を使うことができませんので眼鏡や手術による治療が必要です。
また、その中でも以下のタイプには特に注意が必要です。①乳児内斜視
生まれて早い時期からみられる内斜視で、目が常に内側を向いてしまった状態です。
片目だけが内側に向く場合と、両目が内側に向く場合があります。
生まれたばかりの時期は視力や立体視の成長にとても重要な時期です。
常に斜視になっている目では中心部にまっすぐ光が入らず、視力が育たず弱視となることがあります。
また立体視の獲得のため、早期(生後8か月以内)の斜視手術が推奨される場合があります。②調節性内斜視
遠視がある事で出てきてしまう斜視です。
遠視を補うために目がピント調節を行うことで目の位置に影響が出てしまうことでおこります。また、遠視によって視力の成長が妨げられて弱視の原因ともなります。 そのため、遠視を矯正する眼鏡が必要になります。③電子端末の長時間使用による後天性内斜視
近年、電子端末の過剰使用が内斜視の原因のひとつになっているのではないかと言われています。画面を近くで長い時間にわたって見続けることにより、目が内側にズレてしまう可能性があります。ただ、この場合も念のため、頭の中に異常がないか精密検査を受けることをおすすめします。
- 3)上下斜視
片目が上側または下側に向いてしまう状態です。
見る方向によってズレ方が変わるタイプがあり、その種類は様々です。代表的なものとして、先天性上斜筋麻痺といって生まれつき上斜筋が弱いことで起こる斜視があります。
両眼視しようとして顔を傾けてものを見ることが特徴です。
顔を傾ける状態が長く続くと骨格に影響が出ることがありますので、眼鏡や手術による治療が必要になることがあります。斜視の種類
斜視の治療
生後6か月以内に大きく目の位置がずれている場合は、2歳までには手術が必要です。生後6か月以降で、目の位置のずれも少ない場合は、斜視用の眼鏡や、斜視訓練などで治療して行きます。斜視用の眼鏡を外すために、小学生の時に手術をする場合もあります。大人の斜視の場合は、徐々に斜視が出てきた場合は、状態によりプリズム眼鏡により対応したり、手術をおこないます。
麻痺性の場合は、原因の精査のため、神経内科や脳外科に頭蓋内の精査(MRI)のため紹介します。症状や血液検査より重症筋無力症、甲状腺眼症など疑われた場合、各科に紹介します。その間必要に応じプリズム眼鏡で対応したり、末梢性の麻痺の場合、6か月間は麻痺筋の改善のためにトレーニングも行います。いずれの場合も原因疾患治療後の残った斜視に対し、必要があれば手術することもあります。
当院では全身麻酔は行っていないため、お子様の斜視手術は手術のできる病院へ紹介をさせていただいております。