今回は緑内障のレーザー治療、選択的レーザー線維柱帯形成術(SLT)治療について書いていきたいと思います。
緑内障治療とは、眼圧をコントロールする事で視神経への圧迫をなくし、視野を悪化させないようにすることです。
一般的な治療方法として、薬物療法により、点眼薬や内服薬を使って眼圧を下げることが挙げられますが、生涯にわたり点眼を続ける必要があります。
しかし、仕事が忙しくて点眼をするのが難しい、点眼の副作用が辛いという方ももちろんいらっしゃいます。そのような方々におすすめしたい治療がSLTというレーザー治療です。
眼圧を下げる治療は点眼だけでなく、レーザー治療、手術もあります。 レーザーや手術と聞くと怖いイメージが先につきまとうと思いますが、治療法として近年かなり侵襲が少なくなっています。
SLTは目の中の房水という水が眼外に排出される部分である、線維柱帯という部分にレーザーを当てることで、房水の排出効率をあげて眼圧を下げる治療です。
眼圧の下降効果は8割程度の患者様が点眼を1剤するのと同様の効果があると言われており、治療時間は片眼5分程度です。SLT治療での眼圧降下は10-30%程度期待できると言われており、効果の持続期間は1年で約60%、2年で約50%、5年で約30%です。
2~3年で半数近い方に効果を感じられなくなり2回目のSLT治療を行うか、点眼治療を強化するかを判断していくことになります。
レーザーの治療費は1回、1割負担の方は1万円程度、3割負担の方は3万円程度となります。点眼薬治療の場合、緑内障の点眼薬は1本(1ヶ月分)3割負担の方は千円程度です。
それを考えると、3年間、点眼薬1種類をさし続けると単純計算で3万6千円。
またSLTは日帰りで行うレーザー治療(手術)で手術給付金付き医療保険では給付金支給の対象になることがあります。
以前の緑内障の治療は点眼薬だけでは進行が抑えられない場合は手術を考えるという流れでしたが、このSLT治療は点眼と併用し初期から中期に検討される新しい緑内障の治療です。
一方で、SLT治療をおこなっても眼圧が降下しない方もいます。また、SLT治療を行えばすべての方が必ず眼圧が降下し点眼をしなくて済むというわけでもありません。
レーザーをして、視野の経過を見て効果が出ているかをみていくことになります。
また、緑内障のタイプ、視野異常の程度など緑内障の病状の進行具合によっては適応にならない場合もあります。
SLT治療の適応は
①視野に緑内障による初期の変化が出ていて、点眼治療を始める前にまずSLT治療を試す。
②点眼治療を始めているが視野の悪化があり、点眼薬を増やす代わりにSLT治療を試す。この場合効果が出ても、点眼薬は今まで通りの本数をさし続けていただきます。
③点眼薬によりアレルギーなどの副作用があり点眼継続が困難な場合。妊娠、授乳中で点眼の継続ができない場合
④忘れっぽくなってしまい確実に毎日の点眼を継続できなくなった、点眼薬の使用感が辛い、そんな方も選択の1つとなります。
自分はSLTの適応か知りたい方は医師にご相談下さい。
当日は激しい運動、長湯、飲酒は避けていただくぐらいで普通の生活が出来ます。
翌日からは通常通りにお過ごしください。1~3日位頭痛を感じる方もいます。
そのほか、一時的に眼圧が上がったり、かすんで見えたり眩しく感じたり充血することもありますが、症状は点眼投与により軽快し、一時的なものがほとんどです。